経営者の心意気が見えると、その会社が好きになる


 

カレーが好きで、昼食時はしょっちゅうカレーを食べている。
本格インドカレーのときもあれば、おじいさんが一人でやっている洋食屋のカレーのときもある。
もちろん普通のスタンドカレー屋にも入る。
カレーにそんなにこだわりはないが、ココイチ(COCO壱番屋)にはもっとも世話になっている。
多いときは1週間に2度はここのカレーだ。

間違いなくそんなにすごいカレーが出てくるわけじゃないのだが、
なぜか体がココイチのカレーを求めるのだ。
基本的に食べているのは手仕込みカツカレーの3辛だけで、
手仕込みソースをたっぷりかけて、福神漬けを瓶の半分近い量をたっぷり入れる。
これがなぜかやみつきになる。

繰り返して言うが、決してそんなにすごいカレーじゃない。
聞いたところによると、従業員のまかないでも福神漬けをどっさり入れるというのがスタンダードだそうだから、
この食べ方で正しいのだろう。

なんでココイチにこれほど通うようになったかというと、
以前創業者の宗次さんの話を聞く機会があったからだ。

もともとは名古屋(大阪だったかもしれない)の小さな喫茶店だったのが、
奥さんの作るカレーが評判になり、誰でも知っている大チェーン店になってしまった。
これほどまでのチェーン店になったのには、もちろん理由がある。

いわゆるフランチャイズのビジネスモデルは店のオーナーが本部に上納金を納めるわけだけれど、
その上納金が厳しくてオーナーが疲弊していく話はよく聞く。
でも宗次さんは、ココイチには上納金がないからそんな問題はないと言う。
本部の経営はセントラルキッチンで作るカレーなどの店で出す商材を、
オーナーにお買い上げいただくことで成り立っているから、上納金は必要ないそうだ。

フツーのフランチャイズは、本部が出す商材を買い入れて、それから上納金まで取られるわけだから、そりゃあ苦しくなるよね。

それから、大事なのはオーナーの本気度。
ちょっと副業程度、なにかの投資先ぐらいの気持ちでやられては、飲食店は続かないそうだ。
店や店のまわりを清潔に保つための毎朝の掃除はもちろん、
お客の行動のひとつひとつに気を配ることが極めてあたりまえのことなんだけど、
オーナーの本気度が足りないとそういうことがおろそかになっていくようだ。

だからココイチではフランチャイズに参加する条件として、
資本金1千万、夫婦で店を運営できることというのを条件につけた。
店を整える資金はもちろんだけど、なにより人を雇わずに店を回していくことができれば、
売上が芳しくないときでもしのぐことができる確立は高くなる。

夫婦であれば他に人件費はいらないし、
自分たちでやっていくというモチベーションも高いそうだ。
その後、ココイチで修行した社員であれば、いずれ店を出すことができるということになったが、
オーナーの質を常に高水準に保ち、店の地域への定着率も高いココイチのビジネスは、
フランチャイズのオーナーも、運営会社も、みんなで幸せになろうという姿勢が徹底しているからこそここまで伸びたのだろう。

自分も、デザインで飯が食えなくなったらココイチやろうと思ったぐらい、
尊敬できるビジネスモデルになっている。
そういうこともあって、ココイチという会社が好きになっちゃったんだね。
だから今でもよく通っているんだよな。

現在、宗次さんはココイチを引退されており、
ココイチそのものもハウス傘下に入っているが、
宗次さんの心意気はちゃんと受け継がれていると思う。

カレーのココイチ、創業家の鮮やかな引き際

 

最後まで読んでいただいてありがとうございます。
デザインを戦略にして、もっといい会社になろう。

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