ロゴマークは作るな。キャラを作れ。その2

ゆるキャラは否定しない。しかしだ。

「くまモン」や「ふなっしー」などに代表される「ゆるキャラ」ジャンルは、
いまやキャラクターデザイン界の大きな一角を占めている。
キャラクターが日本全国に認知されたおかげで、
様々な商品化に成功し、地域の活性化に貢献しているからだ。

この事例にあやかろうと各自治体や企業が一斉にゆるキャラを作りだした。
おかげで日本全国にゆるキャラが蔓延している。

ゆるキャラグランプリ オフィシャルWebサイト 2015 総合ゆるキャラランキング

地域おこしをしようということになれば、まず必要なのは「ゆるキャラ」である。
とぼけた味のあるキャラは反感を買いにくい、という安全性がこのジャンルを大きくした理由だろう。
特に自治体などは間違ってもそのキャラにクレームが入ってはいけないのである。

自分的にちょっとツボにくるキャラはあるが、
もはやこのジャンルはレッドーシャンとなっている感は否めない。
これからキャラクターを作ろうと考えているなら、
「ゆるキャラ」の否定からはじめてみよう。


萌えを検証する

ちょっと古い話だが、3年程前に気になるサイトがあった。
害虫駆除の会社が、萌えキャラを駆使していたのである。
ゴキブリ少女の「黒羽いつき」、スズメバチ少女の「縞村すずめ」など、
害虫が萌えキャラ化されていた。

その後、害虫やトイレ周りなど各業務ごとに起こされたキャラの人気投票を行ったり、
各キャラの声優によるラジオドラマなどを展開していた。

【 抱き枕 羨×’贈’選挙 】擬人化アイドルグループ「トップ萌えスター」~隠しページを探せ~

 

2017年現在、上記サイトの更新はないので
萌えキャラ戦略はひとまず落ち着いてしまったのではないかと思われるが、
意外性という面で非常に記憶に残った。

キャラ戦略を考えるときに注目したいのが、
この「意外性」である。
なーんだ萌えキャラじゃん、と済ませてしまうのは簡単だし、
萌えキャラなんて掃いて捨てるほどある。

しかし、ゴキブリを萌えキャラに仕立てた害虫駆除会社は他になかった、
ということが重要だ。
害虫駆除などを依頼するとき、いくつかの会社のサイトを回って検討するだろう。
だが、その内容はどこも似たり寄ったりだ。
「この道30年の当社にお任せください」といった訴求がほとんどである。

「薬はいっさい使いません。このアプリをスマホに入れるだけで
お宅からゴキブリの姿が消えますよ!」
とか言われたらキャラもクソも関係なく試してみようと思うかもしれないが、
残念ながらそんなことはあまりない。

なんらかのサービスを依頼したいときにWebサイトをいろいろ見るが、
どこの会社もさして変わらず、決めては価格になることは多い。
ただそれでも、「ゴキブリ少女の会社があったよな」ということは覚えていて、
コンテンツとしてもよくまとまっていればかなり有利ではないかと思う。

この事例は萌えキャラを上手に使った例(あえて成功例とは言わない)だけれど、
これは「害虫×少女」キャラを他に使った同業もなかったというところがミソである。
萌えキャラなんか使いそうもない業界、
嫌われ者や汚物を擬人化したコンセプトがすばらしい。

どの業界でも通用するわけじゃないが、
キャラクターの作り方の好例として押さえておきたい。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございます。
デザインタイズして、もっといい会社になろう。
※「デザインタイズ」とは、デザインで企業価値を創るという意味を込め、”マネタイズ”からもじった造語です。日本人以外には通用しません。

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