おいしそうな店のデザイン要素を考える。その3(考察編)

行列のできる店、できない店

九段下に通りをはさんで2件のラーメン屋が向かい合っている。
担々麺の店はいつも行列ができるが、タンメンの店はガラガラだ。
よくある光景だが、タンメンの店は都内の別の地域(新橋)にも店を出していて、
そちらの店舗はよく客が入っている。

いつも行列が絶えない担々麺の店


向かいのタンメンの店はいつも空いている

行列のできない店でも、決してクオリティは低くない。

ぼくはこのタンメンの店が好きで、
新橋の店も、九段下の店でも食べている。
ふたつの店舗に味の差はないから、
九段下でタンメンを食べるときは空いていていい。
だがどうしてここまで差ができるのだろうか。

担々麺の店は以前から行列ができていて、
後からこのタンメンの店ができた。
ぼくはこの店の味を知っていたから、
いずれ混んでしまうだろうと思っていたが、
開店から1年以上経つのに状況はあまり変わっていない。

新橋の店は向いにこの担々麺の店のような強力な競合はないから、
という違いはもちろん大きいのだろうが、
この店のクオリティに似合わない状況である。

担々麺とタンメンというジャンルの違いはあるが、それは好みやその日の気分でも変わるだろう。
どんなに美味しくたって、いつもいつも担々麺では飽きる。
「行列に並ぶのがいやで入ってみたけど、おいしかった。また行きたいな。」
と思うぐらいにこのタンメン屋はおいしいのだから、
そうやって食べた人の口コミで客は入るはず・・・なんだけれど。

原因は看板にあるのでは?

そこで、これは客が店を試す最初の一歩を阻害している強烈な要因があるだろうと考えた。
そう、看板である。
両者の看板を比べてみよう。

まずは担々麺の店。

ラーメンの写真はとてもうまそうだ。
プロが撮影しているわけではないが、
逆にリアルなシズル感を醸し出している。

看板のデザインも変にプロっぽくないところがいい。
見ただけで汗とよだれがでてきそうだ。
昨日の記事にも書いた未調整リアリティの法則がここでも活きている。

次はタンメンの店。

写真のクオリティはもう少し欲しいところだ。
加えて写真を切り抜いてしまっていて、さらにおいしさ感を大きく後退させている。
バックを白くしたのも問題だ。
紙の「白」はとても強いから、ドンブリの白い部分や餃子の皿がグレーに見えてしまう。
これもおいしさ感にとってはマイナスだ。
白いものは白く見せなくてはいけない。
せめて黒バックにすべきだろう。

最後に文字情報。
この店のタンメンは野菜がとても多いことが売りだ。
餃子も大きいから、セットで食べれば満腹である。
そういった情報もフォローして、フォントにも気を使うべきだ。
だが下手なフォントを使うぐらいなら手書きのほうがいい。

このようにとても褒められるところのない看板を客が見ると、
「なんとなく入る気がしないなあ」となってしまう。
集客どころか、ハードルになってしまっているのではないか。
木の板に墨で「タンメン屋」と書いた看板をおいただけの方がましかもしれない。

要因はもちろん看板だけのせいじゃないと思うが、
客はまず看板を見る。
料理と共に、ここにも情熱を込めたいよね。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございます。
デザインタイズして、もっといい会社になろう。
※「デザインタイズ」とは、デザインで企業価値を創るという意味を込め、”マネタイズ”からもじった造語です。日本人以外には通用しません。

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