お金がなければアイデアで。ユーモアは値千金。

ノンアルコールビールのネーミングは、
「アルコールフリー」を立たせるため各社色々頑張っている。

 

 

新参者が割り込む余地はまるでないように見える。

これらのパッケージを見ていると、
メーカーの商品開発部の中でのケンケンガクガクが聞こえてくるようだ。
「”フリー”をもっと際立たせろ!」
「”0.00%”がもっと目立つようにしろ!商品名より大きくてもいいぐらいだ。」
「でももっとプレミアム感を出すんだ!」

ノンアルコールビール市場のシェア争奪戦に勝利するため、
ネーミングやパッケージデザイン、
そして莫大な予算を投じるコマーシャル制作と、
メーカーの開発者や宣伝担当者の終わらない戦いは続く。

当然、一緒に作業している広告代理店や制作プロダクションのスタッフも一蓮托生である。
押し出し感と高級感を同時に実現するような、
ある意味矛盾したパッケージデザインを要求されたとしても、
なんとかそのオーダーに答えるために
知恵を絞って何十案も徹夜でラフ案を作るのである。

ここに並んでいるパッケージには、
そのような制作者たちの血と汗が染みこんでいる。
だが仕上がりにその苦労を感じさせないのは、さすがプロである。

ノンアルコールビールに限った話ではないが、
数社の大手がしのぎをを削っている市場に、
新たに参入するというのは、よほどの戦略がないと無謀にしか見えないだろう。

だがこのような戦いの中に、
同じノンアルコールビールで挑んだ会社があった。
そして、その商品はいま大きな反響があるようだ。

 

 

ユーモアで挑む

Sirafu(しらふ)というネーミングは、ありそうなかったよね。
ゼロだフリーだと、「規定キーワード」にガチガチに縛られた大手からはなかなか出てこないだろう。
もちろんネーミングを考えている最中はいろいろと面白いものがあったかもしれない。
しかし、社内の様々な意見をくぐり抜けていくうちに、
ネガティブは排除され、角は丸くなっていく。
荒削りなものがそのまま出て行く余地があまりないのが大手というものだ。

シラフを作った生協も十分大手だが、
ノンアルコールビールに関しては新参者だから、
大手と同じ事をやっても意味がない。
ゼロやフリーといった規定ワードの呪縛から逃れ、
ユーモアという切り口を商品に定着した。

ユーモアは、人の心に染みこむものなのだ。
そして何より、このユーモアセンスで話題となったことで、
莫大な宣伝費を投じることなく商品の認知向上に貢献した。

生協の担当者はたくさんボーナス貰ってもいいよね。
ユーモアは、値千金である。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございます。
デザインは戦略です。
デザインタイズして、もっといい会社になろう。
※「デザインタイズ」とは、デザインで企業価値を創るという意味を込め、”マネタイズ”からもじった造語です。日本人以外には通用しません。

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