お金がないという制作事情と、でもなんとかしようとする気持ちが悲劇を生むこともある。
スキルは進化させなきゃ生き残っていけない、とよく言われているが。
昔取った杵柄というものは、いつまで通用するんだろうか。
その道の大家となり、他の追随を許さないような「上がり」の状態になったとしても、
そのままなんの工夫もなければ最前線に居座り続けるのは不可能だ。
今もっている技術をさらに磨き上げたり、新しいスキルを取り入れてさらに技術を進化させるなど、
努力というものが必要だ。
自分のことで言えば後者が好きな方向なんだけど、
それを仕事で使えるように自分のものにしていくのは結構な時間や場数がかかる。
Webサイト制作の依頼を受けることが最近多いが、
基本的にディレクションからデザイン制作までが自分の範疇であるため、
出来上がったデザインをフロントエンジニアに渡したあとは、
実際の仕上がりをチェックしていくのが主な役目になる。
だからJavaScriptやphpなどのスクリプトを仕事でいじることはまずないが、
それでも日々そんなコードとにらめっこしていれば、
多少のことはわかったつもりになってしまう。
自分でもそれなりにスキルが上がった自覚があったので、
簡単なものなら自分でコーディングまで仕上げて納品してしまおうとしたことがあったのだけれど、
やっぱりというか、あたりまえのように落とし穴があった。
慢心してたつもりは毛頭ないけど、結果としては慢心だ。
新しく取得したドメインとネームサーバーを紐付ける設定は、
別に難しいものでもなんでもないのだけれど、
その設定を終えた後にクライアントのメールサーバーが稼働しないという連絡が来た。
この操作でメールサーバーが落ちるということはないはずだが、
そのタイミングでログインしていたのが自分だったため、
自分の知らない「何か」をやってしまったのかとかなり焦った。
サーバーやドメインを管理する会社に問い合わせたり、
手順に間違いがなかったか確認したりと、その日の午後の数時間はまったく仕事にならなかったのだが、
フタを空けてみればサーバー会社のメールサーバーが単純に「数時間」落ちていただけだった。
(サーバー会社としてそもそもどうなのよ。これだから〇リ〇ップは・・・)
大事にならなくてなによりだったが、
これも自分の行った操作がメールサーバーダウンに直結することはないと、
100%言い切れる知識があれば問題はなかっただけのこと。
予算のない仕事は、ついつい自分でいろいろ対処しようとしてしまうが、
何かが起きた時の手当がすんなりできないのであれば、それはプロじゃない。
その部分についてはプロにお金を払って頼むということを肝に銘じた事件だった。
なんとかしよう、が喜ばれる結果を生むとは限らない。
そういうスタッフを頼む予算がなければ最初からその仕事を断るか、
自分の出来る範疇に限ってしかやらないと、はっきり「No」と言えるようにしようと思う。
お金ないから頼むよ、という言葉に仏心を出しても結局は顧客のためにならないし、
自分の評判を落とすだけの結果に終わったら悲惨だ。
我々のような仕事は、普通の人には何をやっているのかわからない。
カメラマンなら写真を撮る、ライターなら文章を書くとわかりやすいが、
デザイナーとなるとその領域は実に曖昧だ。
コーディングもバリバリこなすスーパーマンもいれば、
Photoshopのスペシャリストもいる。
だから、デザイナーは、もっと自分の専門分野をちゃんと可視化したほうがいいんだなと強く思います。
別にデザイナーに限った話じゃなく、新しい顧客や仕事を求めていくなら、わかりやすさって重要だよね。
自分のことを知っている人間だけで仕事が回っているならいいんだけど、
そんなこといつまでも続かない。
ということで、次回、制作者のスキルの可視化についてちょっとまとめてみます。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
デザインを戦略にして、もっといい会社になろう。