おいしそうな店のデザイン要素を考える。その2(看板編)

昨日の記事の補足です。
文章だけで画像も何にもないんじゃあまり伝わらないので、
午前中に近所をちょっと歩いて良さげな看板を撮影してきた。
いくつか紹介してみたい。

 

ラーメンの写真部分が小さくて細かいディティールまではわかりにくいと思うが、
うまそうな雰囲気が非常によく出ている。
もちろんプロの撮影になればこれに湯気が入ったり、
6点の写真全ての色調や映り具合を調整したりするのだが、
この未調整感がリアリティを醸し出していると思うのだ。

あと、書いてある文字もいい。
無骨な手書き(でも味がある)のこの文字が
写真の雰囲気とよく響き合い、「あ、入ってみようかな」という気になる。

 

これは看板として非常に好感を持った。
写真を切り抜いてしまうと、写真そのもののシズル感は後退してしまう。
つまり、おいしそうに見えなくなるのだ。

料理写真は基本的には背景を入れるべきと思うが、
これは黒いボードに上手にコラージュされており、
「おいしいから食べていってよ」という店の思いが伝わってくる。
まだ入ったことないんだけどね。

 

これは変化球というべきかド直球というべきか。
どっちでもいいけど、ロボットとか砲丸投げとか、
パワー感があるってだけできっと選んだであろうモチーフのシルエットと、
その隙間を埋める文字群。
さらにその隙間を料理の写真が埋めていて、
もはやどうでもいいって感じだ。
こういうものを前に、デザインを論じている自分がバカに見えるな。

でもね、肉食いたくなるよ。
1500円握りしめて行きたいな。

昨日は写真そのものの質感について書いてみたけれど、
最終的にデザインという行為を経て我々の目にとまる。
だから、その看板に店主の気持ちがみなぎって見えれば人の心が動く。
小ぎれいにつくればいいってもんじゃないんだよね。

 

最後にちょっと残念な例も挙げておく。

問題点を挙げればきりがないが、
そういった技術的な話云々以前に、店主の気持ちがもっと表現されるべきだと思う。
ランチタイムは特別な時間だ。
値段に見合ったおいしい食事に出会えれば午後からの労働意欲は増すが、
「失敗しちゃったな」という店に当たればその日の午後は台無しだ。

アポの時間が迫っていて、早ければなんでもいいと立ち食いそば屋に入るのだって、
スピードという対価が得られるからそういう店を選ぶのだ。

看板には心を入れていきましょう。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。
デザインタイズして、もっといい会社になろう。
※「デザインタイズ」とは、デザインで企業価値を創るという意味を込め、”マネタイズ”からもじった造語です。日本人以外には通用しません。

 

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