デザインの発注書 その4 〜予算とスケジュールの厳しいハードルを超えられないこともある〜


 
昨日の投稿で、「期待値ばかり高く、その割に与える情報量も時間も費用もまったく見合っていない」と書いたが、
今日はその補足です。

非常に厳しい予算とスケジュールでありながらも、それが初めてのクライアントだったりすれば,
今後の関係の発展を見込んで、
赤字ギリギリのラインで可能なかぎりの努力をすることはよくある。
その結果クライアントと良い関係が築ければ、それまでの努力は無駄でなかったことになるが、
あくまで仕事の結果にクライアントが満足した場合だ。

ギリギリの予算とスケジュールで仕事をするということは、
制作上必要な条件を揃えきれずに仕上がりが当初予定を下回ってしまうことがある。
これはデザイナーのモチベーション云々以前の問題だ。

そのようなケースが過去にあったが、ちょっとその話をしよう。

多くの案件は企画をし、撮影などを行って素材を作り、
その素材を使ってポスターやWebサイトをデザインする。
だからそれぞれの作業項目に対して実費がかかってくるのは当然だが、
たとえば撮影なら撮影するカット数や、カメラマンの拘束日数が増えれば当然費用も余計にかかる。
しかし予算には限りがあるので、予算上限を超えないよう撮影日程や
当日のタイムスケジュールなど詳細に組まなくてはならない。

その案件の場合、クライアントと打合せの時間が十分取れず、
事前に入念な準備を整えることができなかったため、
撮影当日にタイムスケジュールの大幅な入れ替えが必要という事態が起きてしまった。
結果、予定していたライティングや撮影場所等の条件を揃えられないカットが出てきてしまった。

制作側としてはそれでもその条件の中でベストを尽くしたが、明らかに仕上がりの良くないカットもあった。
もちろん、予定していた形とは違うことも説明しつつ撮影に臨んだつもりだったが、
クライアントはその仕上がりには満足できなかった。
満足できなかったという評価は、こちらがいくら言葉を尽くしたところでひっくり返ることはない。

このような物理的な問題が原因の場合、努力とか根性とかでなんとかするのはかなり難しいことだ。
にもかかわらず、可能な範疇でベストを尽くそうとしてしまったことも要因である。

でも、仕事は結果で評価される。
事前に徹底した準備ができないと判明した時点で、
もう一度仕切り直すべきという「No」をはっきり言うべきであったという話です。

予算とスケジュール、よくよくデザイナーと話し合ってくださいな。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございます。
デザインを戦略にして、もっといい会社になろう。

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