デザインの発注書 その1 〜的確な発注が「いいデザイン」を呼ぶ〜

 

いいデザインはいい発注から。

会社のロゴマークや商品パッケージ、Webサイトやカタログ、DMなど「デザイン」が必要局面は多い。
それら「デザイン」が必要なとき、どうやってデザイナーを選び、発注したらいいのだろうか。

たとえばロゴマークを作りたかったら、クラウドソーシングのサイトを覗いてオーダーを入れれば、
十数点のロゴマークが提案される。気に入ったものがあれば、
ちょっと高めのフランス料理店で食事するぐらいの金額で手に入れることができる。
最終的に完成したものが本当にあなたの気に入ったものであれば、安い買い物である。

ちょっと前までは「デザイナーはどこにいて、どうすれば発注できるのかわからない」なんて言われたものだけれど、
デザイナーも随分身近な存在になったと思う。

でも、どんなにデザイナーが身近な存在に見えたとしても、彼等に制作を依頼する場合、
どう頼めばいいのかはあまり知られていない。
デザイン制作は、1点もののカスタムメイドだ。
発注者が細かなデザインプロセスを知る必要はないけれど、的を得ていない発注では、それなりのデザインしか上がってこない。


 

デザインは発注は注文建築と同じ。

わかりやすい例として、注文建築にたとえてみよう。
自分の家を建てたいと思ったら、建築家に欲しい家のイメージや予算を伝え、
細かな打ち合わせを重ねて設計から施工へと進む。
ほとんどの人にとって一生に一度の高額な買い物だから、その工程のひとつひとつが真剣勝負だ。
その思いの強さゆえに、途中で設計や意匠の変更などで建築家を悩ませたり、意見の食い違いもある。
けれど十分に話し合い、自分が求めているものを正確に伝える努力を惜しまなければ、きっと満足できる家が建つだろう。

デザインも本質的には同じです。
ただし、構造的なことを無視したオーダーでも家が倒れるといった実害はないし、
一生に一度の買い物ってわけでもないから深く考えないでオーダーしてしまう。


 

デザイナーに与える情報の質で結果は左右される。

発注者が望んだものと違う制作物になってしまう原因は、デザイナーの技術的な問題もあるけれど、発注に問題があることも多いのです。
発注者の多くはデザイナーに仕事を頼みなれていないので、これは当然と言えば当然かもしれない。
しかしデザイナーはその発注情報を根拠に制作しなければならないのだから、
その情報以上のものを制作物に込めることはできない。

したがって、最終的に仕上がったデザインが発注者の意図と違う方向に行ってしまうということは、
デザイナーに与えている情報が少ない、
あるいは与えていてもきちんと優先順位をつけて絞りこんでいないことが多い。
そうなった場合、修正する時間に伴って余計な費用も発生してしまうだろう。

的確な発注を行うということは、満足のいく制作物を手に入れることと同時に、
余計な時間や費用を発生させないことでもあるのです。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございます。
デザインは戦略です。
デザインタイズして、もっといい会社になろう。
※「デザインタイズ」とは、デザインで企業価値を創るという意味を込め、”マネタイズ”からもじった造語です。日本人以外には通用しません。

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